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はちゅうかんじけん
爬虫館事件
海野 十三
「新青年」1932(昭和7)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,914 字 · 38 页
「すると十一時三十五分前後ですね。動物の食うものというと、随分嵩張ったものでしょうね」
「それア相当なもんですなア」と副園長が横合から云った。
「馬鈴薯、甘藷、胡羅蔔、雪花菜、、藁、生草、それから食パンだとか、牛乳、兎、鶏、馬肉、魚類など、トラックに満載されてきますよ」
「なるほど」帆村は又鴨田の方へ向き直った。「莫迦げたことをお尋ねいたしますが、この蟒は人間を呑みますか」
「呑まないとは保証できませんが、あまり人間は襲わない習性です。先刻もそんなことを訊かれましたが、園長を呑んでいないことは確かですよ。人間を呑むには時間もかかれば呑んでも腹が膨れているので直ぐ判ります」
帆村は黙って頷いた。
しかし人間の身体を九つ位にバラバラに切断して、この蟒に一塊ずつ喰べさせれば、比較的容易に片づくわけだし、腹も著しく膨むこともなかろうと考えたので、質問してみようと思ったが、これは重大な結果になりそうだから、もっと先で訊くことにした。そしてそれとなく蟒全部の腹の膨れ工合を検べてやろうと思った。
それで裏手の鴨田理学士の研究室を見せて欲しいと云うと、直ぐ許されて、一同は潜り戸を入っていった。