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はちゅうかんじけん

爬虫館事件

海野 十三

「新青年」1932(昭和7)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,914 字 · 38 页

青空文庫

同じような操作がくりかえされたが、これも開かれた内部は、第一のタンクと同じく、空虚だった。

失望したような、そして又安心したような溜息が、どこからともなく起った。

遂に第三のタンクの番だった。流石の鴨田も、心なしか緊張に震える手をもって、スパナーを引いていった。

「ガチャリ!」

とうとう最後の唐櫃が開かれたのだった。

「呀ッ!」

「これも空虚っぽだッ!」

帆村は須永に目くばせをして彼一人、前に出た。彼の手には自動車の喇叭の握りほどあるスポイトとビーカーとが握られていた。

彼は念入りに、白い襞のまわりを獵って、何やら黄色い液体をスポイトで吸いとり、ビーカーへ移していた。

だがそれは大した量でなく、ほんの底を潤おす程度にとどまった。

帆村は尚もスポイトの先で、弾力のある襞を一枚一枚かきわけ、検べていたが、

「呀ッ」

と叫んで顔を寄せた。

「これだッ。とうとう見付かった」

そう云って素早く指先でつまみあげたのは長さ一寸あまりの、柳箸ほどの太さの、鈍く光る金属――どうやら小銃の弾丸のような形のものだった。

一同は怪訝な面持で、帆村が指先にあるものを眺めた。帆村はその弾丸のようなものを鴨田の鼻先へ持っていった。