轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はちゅうかんじけん
爬虫館事件
海野 十三
「新青年」1932(昭和7)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,914 字 · 38 页
そして尚も計画をすすめて、タンクの中の溶液を、そのまま下水へ流してしまうことにしました。急いで流せば、こんな静かなところだからそれと音を悟られるので、排水弁を半開とし、ソロソロと園長の溶けこんだタンクの内容液を流し出したんです。しかしそれは一つの大失敗を残しました。流出速度が極めて緩慢だったために、園長の体内に潜入していた弾丸は流れ去るに至らず、そのまま襞の間に残留してしまったんです。この弾丸というのは、園長が沙河の大会戦で奮戦の果に身に数発の敵弾をうけ、後に野戦病院で大手術をうけましたが、遂に抜き出すことの出来なかった一弾が身体の中に残りました。その一弾が皮肉にも棺桶ならぬ此のタンクの中へ残ったわけなんです。本当に恐ろしいことですね。なお附け加えると、園長の金歯は、大胆にも私の見ている前でビーカー中の王水に溶かし下水道へ流しました。万年筆や釦は鴨田さん自身が撒いたもので、これは犯罪者特有のちょっとした掻乱手段です」
「出鱈目だ、捏造だ!」
鴨田は尚も咆哮した。
「では已むを得ませんから、最後のお話をいたしましょう」帆村は物静かな調子で云った。「この犯行の動機は、まことに悲惨な事実から出て居ます。