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ろうごくのはんにち

牢獄の半日

葉山 嘉樹

「文芸戦線 第一巻五号」1924(大正13)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,671 字 · 16 页

青空文庫

監獄で考えるほど、もちろん、世の中は、いいものでもないし、また娑婆へ出て考えるほど、もちろん、監獄は「楽に食えていいところ」でもない。一口に言えば、社会という監獄の中の、刑務所という小さい監獄です。

二

私は面接室へ行った。

ブリキ屋の山田君と、嬶と、子供とが来ていた。

――地震の時、事務所の看守長は、皆庭へ飛び出して避難したよ。

ブリキ屋君が報告した。

――はたして。と私は言った。

つまり、私たちが、いくら暴れても怒鳴っても、文句を言いに来なかったはずだ。誰も獄舎には居なかったんだ。

あれで獄舎が壊れる。何百人かの被告は、ペシャンコになる。食糧がそれだけ助かる。警察の手がいらなくなる。それで世の中が平和になる。安穏になる。うまいもんだ。

チベットには、月を追っかけて、断崖から落っこって死んだ人間がある。ということを聞いた。

日本では、囚人や社会主義者、無政府主義者を、地震に委せるんだね。地震で時の流れを押し止めるんだ。

ジャッガーノート!

赤ん坊の手を捻るのは、造作もねえこった。お前は一人前の大人だ。な、おまけに高利で貸した血の出るような金で、食い肥った立派な人だ。