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ろうごくのはんにち

牢獄の半日

葉山 嘉樹

「文芸戦線 第一巻五号」1924(大正13)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,671 字 · 16 页

青空文庫

総べてのものは、よりよく生きようとする。ブルジョア、プロレタリア――

私はプロレタリアとして、よりよく生きるために、ないしはプロレタリアを失くするための運動のために、牢獄にある。

風と、光とは私から奪われている。

いつも空腹である。

顔は監獄色と称する土色である。

心は真紅の焔を吐く。

昼過――監獄の飯は早いのだ――強震あり。全被告、声を合せ、涙を垂れて、開扉を頼んだが、看守はいつも頻繁に巡るのに、今は更に姿を見せない。私は扉に打つかった。私はまた体を一つのハンマーの如くにして、隣房との境の板壁に打つかった。私は死にたくなかったのだ。死ぬのなら、重たい屋根に押しつぶされる前に、扉と討死しようと考えた。

私は怒号した。ハンマーの如く打つかった。両足を揃えて、板壁を蹴った。私の体は投げ倒された。板壁は断末魔の胸のように震え戦いた。その間にも私は、寸刻も早く看守が来て、――なぜ乱暴するか――と咎めるのを待った。が、誰も来なかった。

私はヘトヘトになって板壁を蹴っている時に、房と房との天井際の板壁の間に、嵌め込まれてある電球を遮るための板硝子が落ちて来た。