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きょうかしあかちょこべえ

狂歌師赤猪口兵衛

夢野 久作

博多名物非人探偵

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 39,418 字 · 79 页

青空文庫

と、どうしても燃えが通りませんので、掻き出いてみまするとこの風呂敷。御覧なされませ。こうして拡げてみますると処々に煤の汚れが付いております上に燃えさしの鉋屑の臭気が一パイで、奥の方まで火が通らぬ釜の仕掛けに気づかなんだのが運の尽きの野西の無調法……このままソックリ風呂敷を横露地の掃溜箱に投込んで置いたのを、野西の様子を探りに行きました私が見付け出いて、その風呂番から残らず話を聞いてしまいました。その若い衆が炊付けを釜へ詰めたのがあの晩の九ツ半、風呂敷をゴミ箱に捨てた時に、御本丸の明け六つの太鼓が聞こえたと申しますから話がピッタリと似合います。……その野西という美男の若侍は、今日までも蔵元屋の騒動を他目に見た白々しい顔で、鶴巻屋に泊っておりまする筈。多分、蔵元屋の行末に見限りを付けたお艶婆と申合わせて、お金奉行の御威光で、蔵元屋の残り金を欲しいだけ奪り上げて、役目柄案内知った長崎あたりから、日本国の外へでも出る了簡で御座いましっろうか。それとも江戸、大阪へ紛れ込む積りで御座いましっろうか……その当てがガラリと外れた昨晩の蔵元屋のお召捕騒動。黒田藩の大目付様に先手を打たれて、今頃はボンヤリしておる事と存じまするが……この後始末はいずれ貴方様へかかって来る事と存じまするが……」