轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きょうげんのかみ

狂言の神

太宰 治

「東陽」1936(昭和11)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,478 字 · 31 页

青空文庫

立ちあがって、ちょっとかれに近づき、失礼いたします。久保田先生ではございませんか。私は、ことし帝大の文科を卒業いたします者で、少しは原稿も売れてまいりましたが、未だほとんど無名でございます。これから、よろしく、教えて下さい。直立不動の姿勢でもってそうお願いしてしまったので、商人、いいえ人違いですと鼻のさきで軽く掌を振る機会を失い、よし、ここは一番、そのくぼたとやらの先生に化けてやろうと、悪事の腹を据えたようである。

――ははは。ま。掛けたまえ。

――はっ。

――のみながら。

――はっ。

――ひとつ。

――はっ。という工合いに、兵士の如く肩をいからせ、すすめられた椅子に腰をおろして、このようなところで先生にお逢いするとは実もって意外である。先生は毎晩ここにおいでになるのでしょうか。私は、先夜、先生の千人風呂という作品を拝誦させていただきましたが、やはり興奮いたしまして、失礼ながらお手紙さしあげた筈でございますが。

――あれは君、はずかしいものだよ。

――しつれいいたしました。私の記憶ちがいでございました。千人風呂は葛西善蔵氏の作品でございました。

――まったくもって。