轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

どくしん

独身

森 鴎外

「スバル」1910(明治43)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,012 字 · 19 页

青空文庫

六

箕村は一日も不自由をしない。箕村のお客たる僕なんぞも不自由をしない。主人が幸福なら、客も幸福だ。」

主人の無頓着らしい顔には、富田がいくら管を巻いてもやはり微笑の影が消えない。

戸川は主人に目食わせをした。「いや。大変遅くなった。もうお暇をします。」

そして起ちそうにして起たずに、頻りに富田を促すのである。「さあ。君も行こうじゃないか。もう分かっているよ。分かっているよ。」

戸川はとうとう引き摩るようにして富田を連れ出した。

富田は少しよろけながら玄関へ出て、大声にどなっている。「おい。お竹さん。もう一本熱いのを貰うはずだが、こん度の晩まで預けて置くよ。」

主人は送りに出て、戸川に囁いた。「車を呼びに遣ろうか。」

「なに。どうせ同じ道ですから、僕が門まで一しょに行きます。さようなら。」

六

二人の客の帰った迹は急にひっそりした。旭町の太鼓はいつか止んでいて、今まで聞えなかった海の鳴る音がする。

竹が出て来て、酒や茶の道具を片附けている。主人の大野は、見るともなしにそれを見ていたが、ふいと竹を女として視ようとした。

背の低い、髪の薄い、左右の目の大さの少し違っている女である。