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どくしん
独身
「スバル」1910(明治43)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,012 字 · 19 页
十時頃に下女が茶を入れて持って来て、どうもひどい晩でございますねというような事を言って、暫くもじもじしていた。宮沢は自分が寂しくてたまらないので、下女もさぞ寂しかろうと思い遣って、どうだね、針為事をこっちへ持って来ては、己は構わないからと云ったそうだ。そうすると下女が喜んで縫物を持って来て、部屋の隅の方で小さくなって為事をし始めた。それからは下女が、もうお客様もございますまいねと云って、おりおり縫物を持って、宮沢の部屋へ来るようになったのだ。」
富田は笑い出した。「戸川君。君は小説家だね。なかなか旨い。」
戸川も笑って頭を掻いた。「いや。実は宮沢が後悔して、僕にあんまり精しく話したもんだから、僕の話もつい精しくなったのだ。跡は端折って話すよ。しかしも一つ具体的に話したい事がある。それはこうなのだ。下女がある晩、お休なさいと云って、隣の間へ引き下がってから、宮沢が寐られないでいると、壁を隔てて下女が溜息をしては寝返りをするのが聞える。暫く聞いていると、その溜息が段々大きくなって、苦痛のために呻吟するというような風になったそうだ。そこで宮沢がつい、どうかしたのかいと云った。