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せまいいちそくめん

狭い一側面

宮本 百合子

「中央公論」1925(大正14)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,348 字 · 5 页

青空文庫

書斎の方に座って、陶器の話などした。私の父がこの頃少し凝りかけていたので、自然そんな方面に向ったものと見える。そんな時も、氏は元気よい話手であった。そして、日本画壇の、所謂大家というものに対して、率直な不満を洩した。平福氏の画が好きなのは、その人格がすきだという話も聞いた。画壇に於てばかりでなく、各方面に、そういう、或る見識に立脚した批判と選択を持った人であった。

考えて見るのに、私は、瀧田氏の極小部分しか知らない。而も、その小部分によほど、弱音器がかけられていると思う。大人は子供に水を割った葡萄酒を飲ませる。――そんな意味で、ひとりでに、極自由な、溌溂と全幅の真面目を発揮する氏の風貌に接する機会のなかったのは残念であった。

〔一九二五年十二月〕