轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ねことしょうぞうとふたりのおんな
猫と庄造と二人のおんな
谷崎 潤一郎
「改造 新年号 第十八巻第一号」1936(昭和11)年1月1日<br>「改造 七月特大号 第十八巻第七号」1936(昭和11)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,020 字 · 131 页
ちょうど真正面にその光線の方へ向って走っている庄造は、鋼鉄のようにぴかぴか光る舗装道路の眩しさを避けて、俯向き加減に、首を真横にしながら、森の公設市場前を過ぎ、小路の停留所へさしかかったが、ふと、電車線路の向う側の、とある病院の塀外に、畳屋の塚本が台を据えてせっせと畳を刺しているのが眼に留まると、急に元気づいたように乗り着けて行って、
「忙しおまっか。」
と、声をかけた。
「やあ」
と塚本は、手は休めずに眼で頷いたが、日が暮れぬ間に仕事を片附けてしまおうと、畳へきゅッと針を刺し込んでは抜き取りながら、
「今時分、何処へ行きはりまんね?」
「別に何処へも行かしまへん。ちょっとこの辺まで来てみましてん。」
「僕に用事でもおましたんか。」
「いいえ、違いま。―――」
そう云ってしまってはっとしたが、仕方がなしに眼と鼻の間へクシャクシャとした皺を刻んで、曖昧な作り笑いをした。
「今此処通りかかったのんで、声かけてみましたんや。」
「そうだっか。」
そして塚本は、自分の眼の前に自転車を停めて突っ立っている人間になんか、構っていられないと云わんばかりに、直ぐ下を向いて作業を続けたが、庄造の身になってみれば、いくら忙しいにしたところで、「近頃どうしているか」