轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ねことしょうぞうとふたりのおんな

猫と庄造と二人のおんな

谷崎 潤一郎

「改造 新年号 第十八巻第一号」1936(昭和11)年1月1日<br>「改造 七月特大号 第十八巻第七号」1936(昭和11)年7月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,020 字 · 131 页

青空文庫

云う。そんなことからつい別々に寝るようになったが、寒い時分には湯たんぽのことでよく喧嘩をした。なぜかと云って、庄造は彼女と反対に、人一倍上気せ性なのである。分けても足が熱いと云って、冬でも少し布団の裾へ爪先を出すくらいにしないと、寝られない男なのである。だから湯たんぽで暖めてある布団へ這入ることを嫌って、五分と辛抱していなかった。勿論それが不和を醸した根本の理由ではないけれども、しかしそう云う体質の相違がよい口実に使われて、だんだん独り寝の習慣を付けられてしまったのであった。

彼女は右の首筋から肩の方へしこりが出来て恐しく張っているようなので、ときどきそこを揉んでみたり、寝返りを打って枕の当るところを換えてみたりした。毎年夏から秋へかけて、陽気の変り目に右の下頤の虫歯が痛んで困るのであるが、昨夜あたりから少しズキズキし出したようである。そう云えば、この六甲と云う所は、これから冬になって来ると、毎年六甲颪が吹いて、蘆屋などよりずっと寒さが厳しいのであると聞いていたけれども、もうこの頃でも夜は相当に冷え込むので、同じ阪神の間でありながら、何だか遠い山国へでも来たような気がする。