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ねころくだい

猫六題

寺田 寅彦

「東京朝日新聞」1908(明治41)年9月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,284 字 · 3 页

青空文庫

猫と三味

猫のピアノ

猫の宙返り

この頃猫の話が流行るからここにも少しばかり集めてみる。

猫と三味

三味の音は何処で出るといえば無論三筋の絃から起るが、絃自身から直接に空気に伝わる音は割合に弱いものである。大部分の音は絃につれて振動する胴に張った皮から空気に伝わる。単に絃を張った皮のみならず裏の皮からも伝わる。それだから三味を弾く時には裏の皮を身体にくっつけては駄目な訳であろう。要するに三味線の音の大部は胴に張った猫の皮から出ているのである。

猫のピアノ

昔物好きな人が猫ピアノというものを作った事がある。箱の中にいくつも仕切りをしてその中に一つ一つ猫を入れておく。箱の前の鍵盤のようなものの一つを指で押すと槓杆の仕掛けで一疋の猫の尻尾をぐいと押す。すると猫がにゃあと鳴く。数疋の猫がそれぞれ高低の異った鳴声を出すようにしてあるので、うまく鍵盤をたたいてやれば猫の音楽が出来るというのである。嘘のような話だがこういう話が残っている。

猫の宙返り

猫を倒につるして高い処から落せば空中でくるりと身をかわしてうまく四つ足で立つ。これは何でもないような事だが、どうして猫が廻転するかという事は昔から物好きな学者の間で真面目な問題となっている。