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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
02 一九三五年(昭和十年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,805 字 · 40 页
御母上様が丸髷でお手をちゃんとそろえ、いかにも「……ちょります」という風におうつりです。達治さんはすこし人に当てられ気味の表情です。幟がいく本も立っている。私の分としてこしらえて下さったという黄色いメリンスのというのはどれだろう、これがすこしダラリとして重みがあるようだからこれかしらなどと栄さんと話しました。きょうはもう一つ写真が出来て来た。それはいねちゃんと私とが大きいアルミの薬カンをかけた私のうちの茶の間の火鉢をさしはさんでとったもので文学雑誌のひとがとったのです。いつかやはり別の文学雑誌が私の机の前にいるところを横からとったのがあった、それに似ているという話です。
きょうは二月二十日で、いろいろの感想をもって暮しましたが二十三日におめにかかりに出かけますから、この手紙よりどっち道私が先にお会いすることになりますね。
何とおかしいのでしょう。今これを書いていて、あなたのお体はどうかしらと考え、それを伺うと、実際は私がお会いした後の御様子をきくことになるのですものね。
着物のことも、そのほか本のことも、おめにかかって伺いましょう。きょうは久しぶりで机の上に赤いバラの花を一輪買いました。