轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

11 一九四四年(昭和十九年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页

青空文庫

本、一冊しか今手許になくて御免なさい。『療養新道』の方は、多賀ちゃんにきいてやったまま、ついそれなりで。多賀ちゃんも忘れてしまったのね、すぐハガキかきましょう、又。ついでにケプラーお送りしておきました。

きょうは、三時頃に太郎と咲が来ます。太郎は、農繁期休暇二週間のうち、半分だけはお父さんの顔を見て来なさいと云われた由。夏の休みなんか全く当になりませんから、いいでしょう。子供の頃一夏ハダシ暮しして、東京へ帰って来るとき、次第に上野が近づく心持、家へ入って来るときの心持、あれを太郎が味うのだと思うと、面白く、笑ましい気持です。それは非常に新鮮で、人柄や感情を豊富にするし、抑揚を与えるようです。太郎すこしは大まかにゆったりしたかしら。たのしみです。健ちゃんがウマウマと云うようになって、ヨチヨチかけ出すのですって。可愛いこと。実にみたいわ。立つ朝、小鳥のカゴにだきついて(よく見たくて)餌こぼしたって親父がにがり切って、それも忘られませんが。馬糞が草道に落ちていると、太郎がいち早く、健ちゃんこれなアに、ときくんだって。すると、たどたどしい頬っぺの赤い健坊が、ウマウマと云うって大笑いよ。