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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
これは教育がよくなかったのよ、私が余り体育のことに無頓着に育てられて丸く小さくなってしまったように、丸く小さいところがあるのよ、きっと。残念ね、骨の折れるだけも、ね。
こんな小さい字もかくから、大分よくなっているようですが、寧ろこの頃は眼のわるさになれて、まがったペンを使いこなすように、悪妻を扱いこなすように、こなしはじめたのではないでしょうか、チラチラはひどいままなのですもの。眼とは面白いものね、顔全体出て見える眼はこわくなくて、せまいすき間から眼だけ見える眼というものは気味わるいし、おしゃれの女がその効果をつかって、ヴェールから目元だけ出すのも何とずるい技巧でしょう。わたしは出来たらこの眼をあなたに届けて、何とか工合を直して頂いて見たいようです、
おなかぺこについて心痛いたします。もうお眠れになれたでしょうか。
一月十日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
道ばたにならび居る子ら喉をはり
勢一杯にうたふ「予科練」
さむ風に総毛だちつつ片言の
女の児まで声あはせ居り
けふはなほ正月七日風空に
凧のうなりのなきが淋しき
風おちぬしづもる屋根に白白と