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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
そして、わたしは、そういうおしゃれなら人後におちたくないと思います。おばあさんの御秘蔵であった小さいあなたに、おばあさんのそういう弾みのある人柄が何と感じられていたでしょうね。そういう姿美人の子だから、お父さんはお踊りになると、案外なしおがあったのでしょうかしら。お母さんはお父さんの踊上手がお自慢なのよ。御存じ? お父さんのお人柄のよさがそこに出ていると思って伺いました、どうしてあの武骨そうな人が、というようだったのですってね。
鷺の宮は空気の気もちよい、林の畑の中の小さい町です。この間、着物とりに行ったらとうもろこし、きゅうり、なす、いんげん、じゃがいも等、家のぐるり一杯大きくなっていて、わたしの畑(!)がそぞろ哀れになりました。畑一つみても、力を合わせる者のあるところと、そうでないところの違いはおどろくばかり露骨です。この頃、どの家でも畑つくりをやっていて、気風がわかるようでしょうね。わたしが一人で、畑が貧弱なのもやむを得ません。その一人がともかく畑作りを着手した丈プラスです。一人だと、こんな風に畑は不便よ。朝おき、御飯がたべられる迄に一時間はかかります。