轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

11 一九四四年(昭和十九年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页

青空文庫

その合間に、グテグテ相談して、きめるのです。今夜かえると決定がわかるという次第です。それによっては、二十五日に行くということになりかねないのですが、どうなることか。結局咲をつれて行ってしまうのかもしれないわ。さもなければ、急にあしたお目にかかりに行ってバタつき開始ということになってしまいます。自分が行くなら、もって行きたい荷物だってあるわ、いやね。歯の治療は今日が最終で、四月下旬以来の行事が終り、一安心いたしました。下の方の古いブリッジを直し、上のむし食いを直し、外からは一向どこをそれ丈苦心したのか分りません。金のどうやらやりくれる最後の由でした。

この歯の先生が、元は絵をやろうとして(日本画)美校に入ったのですって。絵で食えるかと親父憤って金をよこさないので、一番血なまぐさくない、家にいられる歯をやりはじめたとのことです。平和を愛し、野心をもたない人です。この間、北九州のとき、丁度約束の日で行ったら、すこし顔つきと身ごなしがちがっているの。亢奮があらわれています、白髪の顔に。こちらはもんぺの膝をそろえて椅子にのり、先生はいつもとちがったテキパキさで道具をとって治療にかかりました。