轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
暑いけれど、ここはカラリとして凌ぎようございます。
どうぞお大切に。一人でこの空気を、と思うと。だからいやよ、ね。
八月十二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 福島県郡山市開成山より(郡山市街全景の写真絵はがき)〕
こういう風な街の上に、朝からブンブンです。どこへ行っても、ね。
荷風はラジオを逃げて引越ししたそうですが、雲のみの空ぞ恋しき安積山。よ。安積山は万葉にも出て居ります、その山が、こうして書いている茶の間の北手に見えます。今はボーとしていますが。汗と埃と心労でかたまった面が一重顔からはがれて、生地が出て来たようです。
八月十三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 福島県郡山市開成山より(封書)〕
八月十三日
きょうは、こちらの盆の入りです。田舎のお盆ということをすっかり忘れて、急だったので土産ももたずに来て、ハア、百合子さん来なすったけエで、些か閉口して居ります、帰ると小包作りだわ。ハア何年ぶりだっぺなア、うちの嫁っ子がまだ来ねえうちだったない、というようなわけなの。
飛行練習にお盆休みのあるということはうれしゅうございます。きょうはこの眩ゆい空に浮ぶのは夏の白雲ばかりよ。