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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
咲きのこったように花が小さく色が濃くなって、秋の朝さいている花はきれいね。目白の上り屋敷の駅の外のごたごたに、秋咲く朝顔があって、いつも目にとめてはあすこから池袋へ電車にのりました。
涼しくて体が苦しくないとうれしいうれしい気がします。今年は秋が待たれます、早く残暑がすぎて小堅く涼しくなり、あなたのおなかも、落付くように。今年は、人々がみんな秋を待っているでしょう。みんな、力がない体に暑気はこたえたのよ。わたしは、明日あたりから又暫く注射をし、暑さまけで秋患わないようにします、そして又早寝励行はじめます、ほかの連中はどうあろうとも。わたしの体に早ねは有効ですから。
文武両道ということを思うにつけ、心の勉強と健康増進は切りはなせません。しみじみ思うのよ、弱くなってはいられないと。世界の潮ざいに耳を傾けると、それは丈夫でいなさい、丈夫でいなさいと波の音がいたします。そして、一貫した意志がいるということを語ります、小にしては、二つの身が丈夫でいるにも、ね。だからわたしは意志をつよくしてね、たべるものの不足な分は眠りで補うという原則にします。その日暮しに抵抗いたします。