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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
先ず朝九時半から防空演習でした。私が家中の総大将という憫然なことになってしまって、其でもどうやら無事終了。わたしは隣組の救護班です。国と。まだ働けないから。うちにはタンカもありますから。
午前中床に入るのが普通なのでへたへた。其でも暖かいし折角の二十三日がモンペで終るのも興ないし、そこでハガキに云っていた「ドン・キホーテ」「プルターク」のある叢書を買おう、こっちにある売るのとさしひきしたら、ええいいわ、たまに自分を優待したって、ねえと、珍しくコートなしという風でフラリと出かけました。いそいそしてよ。私たちで買いましょう、そう思って。神田の巖松堂の二三軒先なの。金曜日にはお話していた通り帰りによって、『外交時報』かったのよ、一月十五日発行というのを。そして家へかえって、「ヨクヨク見たらば」とまるで手毬唄のようですが、よくよく見たら其は十一月十五日なの。どっさりあるのですもの、一月と思ったわ、よく見えなかったのね。大笑いして其用もかねてです。一月号はギリギリの月末か二月に入る由。よく月おくれに女の雑誌が出て、気をもんだこと思い出し、感想多くありました。