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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
あれで結構よ。樫の勇気はあのひと笑いで、すっかり定着して、ゆとりが出来て、益※(二の字点、1-2-22)立派に発揮されるのよ。さあ、もう私たちはおとなしくね。そして、蔓に力をこめて絡みつつしずまります。どんな嵐にもふきはがされないだけぴったりと。すいかつらが、分相応の智慧にもめぐまれているというのは自然の恩恵と申すべきでしょうと思います。
わたしのほめ歌は、ざっと以上の通りよ。さて、これをどんな長歌につくれるでしょう。なかなかむずかしい芸当です。こうして話すしかわたしは能なしらしゅうございます。樫とすいかつらの万歳を祝してこのおはなしはこれでおしまい。
きょう(十八日)夜着届けました。きのうは咲枝も多賀ちゃんも十七日に届くように、と小包を送ってくれて、咲からはあなたへ草履、多賀ちゃんからは冬の羽織の縫い上ったのに、こまごまといりこや橙の青々ときれいなのや、お母さんからの豆などよこしてくれました。繁治さんと夕飯をたべ、夜も愉快にすごしました。栄さんは移動劇団と一緒に四国旅行ですって。世田ヶ谷はおつとめ。こっち方面は月末か来月に一たて別にゆっくりいたします。