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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
但し「選良」すぎるのよ、大使館、正金云々とね、細君のひっぱりや緑郎の親の七光りで。外国でこれは用心がいります、出先の大使館のぐるりの生活は、土地ものの生活とのちがいがひどくてね。
多賀ちゃんのことは、現にもうこうやって一人になってしまって居りますし、今度は一人も亦よしらしいからどうか御心配なく。
十七日がしずかだったのをたまものと表現したからと云って、あながち、タマモノと思っているのでもないのよ、ハハンと笑って、わたしも一本参ったと申しましょう。でも、あなたねえ、何て、あなたでしょう、その点では痛快のようなものですけれど。
クラウゼヴィッツは市ヶ谷の頃よみました、面白く、感服もして。そして、忘れもしたというのは、きまりがわるいわね。
十一月一日のお手紙大変早く二日に頂きました。
今年はたしかに寒さが早うございます、この秋は秋刀魚も焼かず冬となる、よ。秋刀魚なんて、ほんとにどこへ行ったでしょう、うちの柿はもげましたが。
このお手紙にはブランカのバタツキ占星術克服のために、よめとおさしずがあり、一般的に、勉強を怠らない精神がどんなに大切なものかということは、十七日のあとの手紙に書いたとおりの実感です。