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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

11 一九四四年(昭和十九年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页

青空文庫

次の日にこたえる位。五日、六日、きょうと馴れて来て、次第に準備も出来て来て、きょうなどの成績は上の部でした。九時すぎに「定期」が来るから、けさは早くおきて御飯もゆっくりすませ、あおりで飛散したため、傷をうけることがあってはいけないと台所のガラスの空びん空カンなかみのあるビン類すべてを始末してあげ板の下にしまいこみ(只今ラジオのブザが鳴り。動坂の家のようなのよ、警戒警報解除)窓と水平の棚の上のものをすっかり空にして、引越し前の台所のようにしました。積年の弊がえらい状態のところへ、この頃は空カン空ビンみんな入用なのよ。ですから私はじめ保存病にかかっていて、役にたちかねるの迄すてないのね。(思い出してひとり笑いいたします。ブランカ、かんだけの保存病だと思っているネと笑われそうで、そっちの保存病は数年前に大分治癒いたしました。)午前中其をやって、ホホウ、きょうは「定期」が休業ならと支度していたら、千駄木学校のサイレンが唸り出しました。近いからその点いいこと。本当に鳴り出す前の唸りの間に大ヤカン一杯の水は汲めます。

うちは、まだまだ整備どころではないのよ。