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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

11 一九四四年(昭和十九年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页

青空文庫

涙もすこし出たいようになるし。おだやかな慨歎というものは身に沁みるものねえ。わたしは一生折々この種の慨歎をあなたにさせて、もしいなくなったら、一番なつかしいその人の特徴として、ああ俺は何度ブランカには追かけ式家政学のことを云っただろうとお思いになるかもしれないわね。或人が書いています、愛するということは欠点をさえいとしく思うことだ、と。何とかしてこれを牽強附会出来ないものでしょうか。御免なさいね。

護国寺の本やから駒込郵便局へまわりました。郵便事務というものは実に大したものね、従業員はもっともっと大切にされていいと思いました。それに印というものはこの種の仕事をどれ丈煩雑にしているでしょう、署名にもちがった煩しさがあるかもしれませんが、十人足らずの人間が些少の金銭を出して貰うのに四人ほどよ、印のことで用の足りないのが。自分もその一人でしたが。中條の印も持って歩かなくては駄目ね。ここの家の経営は日常費は、国府津を貸したものでやって行くことに相談をきめて、其は私がとることにしたら第一回に印です。ここの家の仕来りとしてこれ丈独立性をもたせたのは/はっきりさせたのは、姉さんの名案と四月来の勤勉の結果です。