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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
島田へのおみやげ大分あつまりました、何はなくとも、ともかくめいめいに何かと思ってね。周囲の若い女のひとがどしどし挺身隊に入ることになって来て居ります。歌舞伎のような高級娯楽は一年間停止、待合芸者やも廃業、高級料理店も停止。これはさもあることです。一般人の生活とはかけはなれてしまって、百円の食事をしたと大声に喋る人間は、時局屋ですから。遊廓はのこされるらしい風です。
文学報国会で久米正雄や他の人が世話役で、作家の勤労者集団生活の舎監へのり出すことが進められて居ります。文士とやはりかかれています。二三十人先遣隊となる由。文学に全く関係のないひとが、「つまり救済事業ですね」と新聞を見て申しました。ガンジー夫人七十何歳かで獄中に生活を終りました。極めて感銘のふかいことです。どうであったにしろ、インドの人々にとって正直に生涯を捧げた典型が示されたのです。
三月二十日夜 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(鶴ヶ岡八幡宮の写真絵はがき)〕
さきほどすぐ事務所に電話して切符のことをたのみ、どうにかして寝台も買えたら買うようたのみました。しかしあとのは全く当になりません、私人では。