轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
12 一九四五年(昭和二十年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,583 字 · 240 页
営養を与えようとまじり気なくやってくれました。わたしにしろ、あの生活を見、一人でどんなにやっているかという骨折をみては、皿小鉢がきたないまんまつくねてあるのを見ても、やっぱり黙って井戸端へもち出して、きれいに洗っておいてやる気にしかならず、全く寿の存在が、ここへ帰っても、遠い江場土に小さい糸芯ランプの灯がぽつりとついていてそこに浮んでいるちょいと煤のくっついたあのひとの若い顔が見えるようになりました。いろいろの原因で動揺していて苦しい寿への愛情が落付く地盤を見出して、わたしはどんなにうれしいでしょう。わたしの生活へ関心をもつものは妹しかなく其とてもグラグラして、御都合主義で目先三寸の智慧で情けないことだと思って居りましたが、寿の暮しの実際をみると、つまり一人でまわりきれないところから来るいろいろの欠点であると思います。御都合主義と同じことになってしまうのも謂わば洗いきれずにつくねてしまった皿の類なのね。すこし落付いてピアノでも弾くためには一人であらゆることを延時間でやらなくてはならない生活ではどこかがきっと廻りきれません。生活上の配慮を一人で万端やって、それも不馴れだから対人的にも十分しっとりと落付き切れないようになってしまうのでしょう。