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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
12 一九四五年(昭和二十年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,583 字 · 240 页
(五反田に近い上大崎に知った家がありましたが、やけたらしいことよ。猿町がないそうですから。)
焼あとが多いことは大したことね。昨夜そう思いました。しかし、あとで焼ければやけるほど万事が骨折りです。いろんなものが無くなるし(乗物など)。来月そちらでお目にかかり、次の月はどうなるでしょうねえ。
七月には、ね。いつまでもおいてきぼりにしてしまったらこまると思います。移動して出たら、もう東京へは戻れないし。でもまア、万一そういうときには又その時の策もあるかもしれません。せめて夜具フトンを、と頭を大ひねりです。〔中略〕
チリヨケ目がねで大分注意いたしましたがきょうは目がすこしパシパシ。おや、今とんでいるのは29の音よ。ラジオがないとこういうことになるのね。ではどうかお大切に。今は省線が不通です。
六月十六日夕 〔巣鴨拘置所の顕治宛 福島県郡山市開成山より(封書)〕
一九四五年六月十六日
きょうは開成山からの手紙です。これは、いつ着くでしょうね、勿論明日わたしがここを立ってひどく混む汽車にもまれて東京へついて、それからそちらへシャツを届けに行ってそれでもまだ着かないことでしょう。