轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
12 一九四五年(昭和二十年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,583 字 · 240 页
という電報を東京からうけとった。発信人は東京の予防拘禁所にいた同志の一人と、弁護士の連名であった。返電を打つ手続をすると間もなく署長室によびだされた。署長は『君について命令がきた。健康の点もあるし執行停止することになった。』とつげた。そして顕治はその日の午後四時、十二年ぶりで手錠なしではじめて監獄の外に立った。顕治は無期囚として網走へゆくとき、同行の看守が不思議がるほど冬の衣類一切と本をつめた重いトランクを背負って行った。手錠をはめられている背中に。それらの着物が役に立った。顕治の天気予報は当った。
九月初旬、山口県光市の顕治の生家へ行った百合子は、十月十日までに治安維持法の政治犯人が解放されるという新聞記事をよみ、その中に宮本顕治の名があることを見出した。十月八日に百合子は島田を立って山陽東海道線の故障のため、五日かかって東京へ着いた。当時の混乱状態で顕治からの電報も葉書も着いていなかった。顕治が十月十四日に東京の家(百合子が暮していた義弟の家)へ帰ってきてから、あと四五日経って、網走から百合子宛に打った電報と函館の宿で書いた葉書とが届いた。その葉書には『海よ早く静まれ』