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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

03 一九三六年(昭和十一年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 50,453 字 · 101 页

青空文庫

明治座八月興行の立看板が出ていて「彦六大いに笑う」三好十郎作、杉本良吉演出、井上正夫、水谷八重子、岡田嘉子などと出ていて、これも面白くみました。私は先日来、ゴーリキイの研究を本にするために大変勉強したので、一息いれるのと暑さにうだったのとで、この数日一寸のびました。(中休みです。書くのはこれから)

この前のお手紙で国府津へでもおいでと云って下さったけれども、あすこは夏はムンムンです。それに海へ入らないしね。去年、重治さん夫婦は富士見の高原へゆき、健坊たちは千葉の海岸へ行ったが、今年はどこもまだ釘づけです。資金思わしからずでね。

島田へは椅子をお送り申しました。お気に入って東京からよこしたといってはお見せになっている由。私も大変うれしい。それは折たたみ椅子でのばすと長椅子にして寝られ背の勾配も加減できるのです。籐でしっかりしていて、お父さんの大きいお体でも平気です。近く山崎さんの伯父上[自注9]が御出京になり、あなたにもお会いになりたいそうです。

ところで、この手紙はきっと私がお目にかかる時分にやっと着くのでしょうが、シャツその他の衣類、フトンなどの工合はいかがでしょうかしら。