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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

03 一九三六年(昭和十一年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 50,453 字 · 101 页

青空文庫

音楽家は、素質的に少しでもましなひとは、主観的にそれに自負してしまう、そこで危険です。緑郎は今年既に作曲を三つやっているし、評論活動その他落付いて若いものらしくやっている。これは土台がいくらかあってのことだから、教育上の心配というものはないのです。本のよみ方も知っている。

太郎はこの頃、自分をアーボチャンと云い、いろいろの単語を喋り、なかなか可愛くよく発育しています。今度お目にかけます。大きいということが云えず、アッコオバチャンと云い、コの音の出しようをクの間のように喉音で出します。

今年のうちに青山の墓地の始末をして父の墓標も立てなければならないので、そのデザインが出来上りました。なかなかいいデザインです。早いものでもう間もなく一年です。

先日、島田からのお手紙で、達治さんがかえられて皆およろこびの御様子でした。光井からもお手紙いただきました。あちらにも上林の松葉茶をお送りしてあります。召上っているらしい。今年のうちに着く手紙としてはこれが終りかもしれませんね。私は体も大切によく勉強もしているから本年は本年として心のこりなく送ります。お体を重ね重ねお大切に。