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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
04 一九三七年(昭和十二年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页
この猫何ていう名なのかい? 名はないよ、オイオイニャーと呼んだり、わるさをするとネコ! と叱るよ、と云ったらフームという。名をつけてやっておくれ、そしたらその名を呼ぶからと云ったら、健造考えていて、きまりわるそうにしていてミミと縁側に書いた。何かの話に出て来る猫の名でしょう。ター坊に、兄ちゃんが猫にミミって名をつけたから、家へかえってお話し、と云ったらター坊、あたしが話してやる健ちゃんきまりがわるいから、だって。六つと九つの兄妹。大変に面白く、そして林町の太郎のようにスポイルされていないから、いかにも「小さい人々」で心持よい。子供たちの母さんは『婦人之友』への小説できのうは大忙し。私のは『文芸春秋』。新聞の方も母さんはつづけていて、前月は先方が金を渋ったのでねじこんだが、今日は一ヵ月先どりしたから、とキューキュー云っている。まあこんな工合ですね。
あしたお目にかかるのだけれどもお体はどうでしょうか。この間の暑さ! 六十年ぶりの由。私は腕の汗が机にきしむので手拭を当てて仕事しました。苦しくおありになりませんでしたか? 氷の柱をあげたいと思った。それからフーフーあつい番茶を。