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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
04 一九三七年(昭和十二年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页
こういうことは私とすれば何だか変なところがある。そんなものであるのか、あってよいのだろうか。そういう気がする。だが、あのひとはそれでよいらしい。私が改めてそういうことについてキッチリしようとするのが寧ろ分らなかった。二十五日に、貴方のおっしゃったのは深い友情の言葉でした。
私としては、彼のひとが、貴方の友情のねうちを深くかみしめることが出来るか出来ないかが問題でなく、対手はどうであろうと、貴方のお気持を私たちの家庭生活の裡では貫徹しなければいやです。
あなたが快くなく思いになるような風に私たちの家があってはならないし、又そんな家のある意味もない。私の心持お分りになるでしょう。
今丁度別に手つだいをさがしかけていたところであったから、それが見つかったら、Xは別に住むように考えましょう。何か少しでも収入のある仕事を見つけて。そして、別に一つ部屋をもたそう。ちょいちょいしたことで手伝って貰うとしても。それから、私たちのところにいるうちは、Dさんは従前どおり普通の友人として来て、かえって貰いましょう。そういうやりかたはどうかしら。二十五日に、私はどちらかと云うと、何だか苦しい心持で帰ったの。