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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

04 一九三七年(昭和十二年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页

青空文庫

来年の秋でもゆっくりおともしましょうと話していたのですが、もし達ちゃんが召集されでもしたらというお気持もあるので、急にお思い立ちになったのでしょう。今時間表をしらべているところです。

お母さんも永年のお疲れで、この間腎盂炎をおやりになってから、すっかり御全快ではなく、台所の仕事などでも過労をなさるといけない御様子です。今は多賀ちゃんが手つだっているから大丈夫ですが、きのうも野原へ行って、すっかり多賀ちゃんに手伝って貰うようよくたのんでおきました。

春からみると何か全体がしずかになっている。お母さんは余りこれまで御丈夫でなかったし、御無理だったから、すこしこの際お労りになる方がよいのです。そちらもこんなにいい天気でしょうか。どうかお元気に。若い連中も元気にやって居りますから何よりです。では又。

[自注18]河村さん――島田の宮本の家の向いの一家で、病父がその人のリヤカーにのせてもらって相撲や芝居見物に行ったこともある。

[自注19]琴平さん――讚岐の琴平神宮。

十月十二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 山口県島田より(琴平名所の金比羅高台より讚岐富士を望む絵はがき)〕