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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

04 一九三七年(昭和十二年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页

青空文庫

本当に手紙は食べもののようです。味う。味う。

それは九月一杯はこういうリフレッシュメントがなかったから、むさぼる如き心持です。でも決して工合のわるいときを押してまで書いて下さらないでもよい――(然し、出来るだけ手紙は書こうと云っていらっしゃることの上に立って、一寸分別臭く云って見ます。)

島田で書いた手紙のように、お父さんは私の云うこともおわかりになりますし、別れの御挨拶をするといかにもお心のこりの風でこちらが困るような感情もおあらわしになるが、やはり公平に見て春よりはお弱りです。それでも実にきれいな舌をしていらっしゃる。あれでもっていらっしゃるのでしょう。行ってようございました。お母さんも琴平へ強行的小旅行をなさっても次の日腰が痛い位のことでお元気ではあるが、私は呉々お金よりも体、ということを念頭にお置きになるようおすすめしました。あなたもこの次お書きになるときには呉々もそのことを仰云って上げて下さい。

例えば私が島田へ往復二等にする。そのことが体のために必要であるということを実感としておわかりになったのは、今度の四国ゆきの御経験からです。それまではゼイタクと思っていらしったことを、御自分で云って笑っていらしった。