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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
04 一九三七年(昭和十二年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页
スケッチが出来たら、下手でもさぞいい保養だろうと思います。寿江子は上手い。それでも絵は気まぐれにしかやる気がしない由。
あなたがお礼を出したく思っていらっしゃる人々には皆よろしくつたえますから御心配なく。親しい人達と賑やかに越年しましょう。百枚近い文学のこの三四年間に亙る鳥瞰図的な推移図のかけたのは、不満もあるが、よかった。生活の中で幸福を発見する能力や仕事のそれが増してゆく諸事情というものは何と複雑でしょう。
この間、国男宛に下すったお手紙、あっちがお歳暮に来たとき呉れました。わざわざありがとう。国男は、自分が書かないのにすまないと云っていた。皆に対してあなたの配って下さるお心持をありがたく感じました。緑郎はこの間初めて手紙をよこして、パリのエトワールの近くの或一寸した作家の未亡人の家に暮すようになり、フランス語がまだよくこなせないから御飯のたびに大汗の由です。あのひとなりにいろいろ学んで来るでしょう。紀は負傷しました。但生命に別状はない。島田の方では多賀ちゃんのたよりで、お店へ米俵をつみ上げて、トラックも休みなしの由、収入のある方らしい御様子で、父上も炬燵のある中の間でこの頃は御機嫌よろしいとのことです。