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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
04 一九三七年(昭和十二年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页
猫の仔が五匹います。では又
四月二日 〔市ヶ谷刑務所の顕治宛 山口県島田より(封書)〕
四月二日。晴 島田からの第三信
待ちかねるようであったお手紙がやっと来ました。あなたは三月十八日に書いていて下すったのね。それが着いたのは今朝です。
このお手紙に一つ一つ答えて参りましょう。お父さんの御容態についてはこれまでの手紙で書いた通りです。今後の御発病の原因は、危険なことであったが、岩本氏(東京の)が結婚してはじめて見え、お酒が出て、お父さん、こっそりそれをおやりになったのですって。夕方、若い連中がかえって来て、それとは知らずお風呂へ入れ申したから、ショックの起るすべての条件は完備してしまったわけでした。この位でお止りになったのはふしぎな位。
御様子は段々私が来てから一週間であるが、その間にも気付かぬ位ずつ語彙も殖えて来られ、長い文句を仰云るようになりました。しかし、うとうとしていらっしゃるときのイビキは病的ですから決して安心ではない。実に平安に、ソッとして保たなければならないでしょう。私が来たことは大変大変御満足で、お母さんが「もう思いのこすことはありますまい、顕治に会うたも一つことじゃから、のうお父さん」