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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

柳瀬中野のお祝いの会はいかにもその人々らしい会でした。久しぶりにいろんな人の顔を見ました。千田さんのイルマさんが子供をお母さんに見せに八年ぶりで一寸ベルリンにかえってゆくそうです、八ヵ月の予定で。八年の年月は、実に昨今では内容的だから、さぞいろいろの感想の深いことだろうと思います。かえって話をきかせて貰うのがたのしみです。イルマさんだけ行くのです。いろんな人からあなたへのよろしく、よろしく、お体をお大切に、ということでした。

きのうは、会へ行く電車のなかでも、テーブルに向っても、折々朝のうちの匂いたかい花束が近々と顔に迫って来て、むせぶようになりました。私は花の香には実に感じ易いから、あんまり芳しいと気が遠くなりかかります。

きのうは、前便で話していたように会だらけの日でした。けれども私たちは中野さんにも骨を折らしてお祝を貰ったから、中野さんたちの会だけにしようとしていたら、三宅やす子さんの会に是非来て呉れるようにというので、それからエイワンへ稲ちゃんと二人でまわりました。AIはイギリス人の細君とはじめた、初めは小じんまりとしたところでした。父たちぐらいの人々がそのイギリス風をひいきにして段々盛になって、この頃では新築して株主をこしらえたりしています。