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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
きょうから過去の経済に関する学問への批評[自注10]にうつります。
この本は厖大な一系列の仕事が多年にわたってどのような一貫性で遂行されてゆくかということについて、実に興味ふかくまじめなおどろきを感じさせます。そしてますます前の方にかいたこと、即ち自分自身に理解するために、努力しつくす力、紛糾の間から現実の真のありようを示そうとする努力というものが偉大な仕事の無私な源泉となっているか、云わばそれなしでは目先のパタパタではとてもやり遂げ得るものではないことが痛切に感じられます。文学作品の大きいものにしても全くおなじであり、ブランデスだって十九世紀の文芸思潮に関するあれだけの仕事は、その日暮しでしたのではなかったこと明白です。更にそのように無私で強力なバネを内部にもち得るということそのものが、どんなに強力な現実把握上で行われるかということも語っています。
専門的に云えば、私は極めて皮相的な一読者でしかないことを認めざるを得ない。宝が宝としての価値の十分さでわからない。何故ならそれだけの準備がないから。しかし現実の問題としてははっきりわかります。そこが学者でないありがたさ。