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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
さて、うちのこと、てっちゃんのことづて、きいて下さいましたろう? あれから怪しき者も現れず、炭俵も安全ですから御安心下さい。ひささんは今夜かえります。こういう思いをするにつけて、本当にそちらの近くに堅いいくらか静かなアパートがあればよいと思います。最も実質的に考えて生活を合理化することは、真面目に計画されるべきことであると段々わかってきます。〔中略〕
いつか、去年のうちであったと思いますが、あなたが、生活のやり方について、無理して家を一つもつなんていうことを考えず間借でも何でもしてやって行くのが本当だから、と仰云ったことがあるのを覚えていらっしゃるでしょうか。そのとき、私は、それはそうだが、とわかってもどこか情けないような気がしました。そういう心持はなくなって来ています。新しい周囲が生じるのもよい、そういう興味もあります。生活がぐっと単純化することから違って来る気分もあり、そのことがどう自分に摂取されるだろうかという期待もあります。四月十日頃になると、移動がはじまるから家に留守番が来たらアパートしらべにとりかかります。
二十七日づけのお手紙、ありがとう。