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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
今夜おばあちゃんのお客。いろいろの心持でこれから仕度にかかります。もしかしたらこの家で御飯にひとをよんだりするおしまいかもしれないから。あっちこっちスケッチしてよかったこと。私たちのこの家を深く愛します。
アパートでこまるのは生活が露出してしまうことです。これがどうなるか、一番の要点で一番マイナスの条件だから。この点本当に慎重です。あとのことはサバサバするだろうと思えます。
ひさは四月一杯いられるかと思ったら、名古屋の姉が出産しこもち肥立ちがよくなかったらそちらへ行くことになっているのですって。浮足が立っているから。アパートは豊島区内にさがしたいと考えています、かわって、初めてのところへなど行くと、つまらぬ好奇心や詮索でこまるから。何しろ有名人ですからね。お察し下さい。来年六月できれるわけです。
市場へ(目白の角の)買物に出てかえって来かけたらポツポツおちて来て、今は本降りになりました。池さんあしたの夜も雨が降ったりしたらきっとあのひとらしく感傷することでしょう。御せんべつに旅中読む本をあげようと思います、『ミケルアンジェロ』にしましょう。それと、「メチニコフ伝」