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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
音楽が微妙な震動数の調和で諧調を発しるような。そして、一たびそのような調和を感じ合ったもの同士の、深い深いうちはまりかたというものはどうでしょう。一つのハーモニイはおのずからその中に次のハーモニイへの可能をふくんでいるから、或ところでの楽しい反覆、あるところでの心ゆくばかりのテーマの展開と、時を経るまま日をふるままに益※(二の字点、1-2-22)味いつきず。
そういう点で、人間が美しさの頂点を知っているということは、非常なことであると感じます。生の横溢が、生を飛躍しそうな感覚にまで誘う、そういう刹那に迄到達する美しさを感じ合う心と肉体というもの。
きょう、あれを読んだら様々の思いで、新たに、結び合うテムペラメントの必然の一つを感じました。
そしてね、一つの内緒話がしたくなった。女にとってね、私のような女にとってね、そういう深い深いともなり(共鳴)を得ているということはどんなことを意味するか、どのような経験であるかということについて。
あなたは抱月と須磨子の生涯を覚えていらっしゃるかしら。何故、須磨子は抱月のいなくなった後、生きていられなくなったでしょう。