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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

移動が激しいのと、文化がひくいのと、賃銀がひどいから(一トロッコ(一坪立方)三十銭。だが半分は親分がとる。一日十杯ぐらい。九十円のわけだが、体が一ヵ月働きつづけられまい。せいぜい二十日。その上、食費をはねる(親方))そういう生活になってしまうことを話したら尤もとうなずいていた。子供に対しては偏見もなく、そうやって来た子で野原の学校に上っているのもあるそうです。

もとからある家の蔵と二階ね、おわかりになるでしょう? あすこをつけて大工に土地を売ったというのは昨年のこと。本年に入って、その大工氏は大いに営利に志し、元、風呂のあった側一杯に大きい二階つきの製材所を建築中です。機械をおくコンクリートの座などが、まだ壁のない建物の間に見えました。ここで機械鋸を使い出したらあのシューキューシューシャリという音、さぞやさぞでしょうね。国府津の家の裏に一軒あるの覚えていらっしゃるかしら。あそこ位はなれていても随分きこえるのですから。

野原の家の洋間の事務所、そのとなりの部屋、それにつづく大きい二室、それは小倉の方から来た夫婦に子供三人家族に \15 でかしてある。