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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

田舎の大きい家の二男坊らしい目安があるのです。だから欠点云々という。私はおひささんに「旦那さんにそう云っておくれ。おひささんが自分で持っている欠点を、私たちのうちの欠点と思って貰っちゃとんだ迷惑だって。」おかしいでしょう。いかにもおかみさんのようなことをユリもいうとお思いなさって苦笑なさるでしょう。でも、それはそうだわ、私の心持から云えばね。おひささんはナイーヴですから、対手のそういうクラーク気質を素直に反映するのです。おひささんも、そういう御亭主に鍛えられれば半年か一年して変って来ることでしょう。対手の確りさ、その工合も、それで略想像がつきました。いわゆるかっちりやでしょう。ビンタで人を使っている立場だから、工場づとめでも。冨美ちゃんは土曜日か日曜に参ります。この頃は大分体がしっかりして、あちらではバター牛乳が献立の中に入れてあるからましです。特に冨美子のためにそういう点気をつけていらっしゃるから。語学のこと申します。女学校を出たら二部へ入って二年で資格をとる計画です。お兄ちゃんが可愛がっているから仕合わせです。女学校三年から上の学校へゆく子と家事向の子とわけて、語学の時間などふりかえる由です。