轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

よ。お母さんだってあぶなくいらっしゃる。山から雨のとき水がどうどう流れ下る、その溝や洗い出された岩が、つまり道ということにして使われているのですから。ですから年々ひどくなるのです。去年より又ずっと足場わるくなって居ります。

きっとこれが島田からは一番しまいの手紙でしょう。立つ前もう一度お墓詣りいたしましょう。きょうは二十三日。あと四日。一日がせわしくて短くて、そして無限に永い。こういう妙な日々。ではね。

四月二十九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 日光中禅寺湖歌ヶ浜のいづみや旅館より(男体山の絵はがき)〕

なかなか珍しい組み合わせで且つ珍しい小旅行です。只今湖畔の古風な宿の広縁で椅子にかけ小テーブルでこれをかいて居ります。きょうは一日ふらりふらりと歩いて、湖の静かな眺めがなかなかようございます、建築を二度見に来ようとは思わないが、自然はよい、又季節がちがったらどうだろうか、と思わせます。明日は湯元まで四五十分ドライヴしてお湯にも入り、高山の景色もお目にかけて夕刻かえります。山影が湖面に面白い変化を与えて居ます。

五月四日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕