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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
それから火を入れ、甘いがつめたいアイスクリームを段々あっためて、きょうはもう我が家の温度に馴れて、平気。暖い二階で十度です。華氏五〇度。きのうのお手紙に流石相当の気候とありましたが、全くね。本年はそれによけい寒いのです。水道が今年ほど毎日凍ることは去年なかったことです。そちらはさぞさぞと思います。
十日の夜は久しぶりの家でほんとにくつろいだ気分でしたが、やや寝苦しかった。きのうは午後一寸(二時間ほど)横になってあと茶の間にいた、座椅子にもたれて。国男さんがひる頃来て、お祝総代ということで喋って行きました。そのときほんのお祝のしるしと云って仰々しい紅白の紙包をさし出した。お金が入っているらしい様子で、上に御慶祥と書いてあります。ふーん、この頃はこんな字をつかうのかしらと思って、これはどういう意味なの? と訊いたら、その通りだからさというわけ。御軽少の音にあてたのです。大笑いしてしまった。正直に訊いてよかったと。だって、私は真正直にこんな字もつかうかと真似したら大笑いのところでした。
きょうは、只今寿江子がそちらに出かけ。榊原さんとおひささんは、日本橋の方へ、おひささんのお年玉の呉服ものを買いに出かけました。