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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

本をよむという、よりひろい世界を知りたいという欲望さえ持たない少女。目の先耳のはたの声をそのまま片はじからメカニックに模写するものとして。テムプル以下でしょう。問題は、文化の低下状態、文学の低下とむすびついているわけです。その低下と一部の人の妙な純粋性への偏向がああいうジャーナリズムの産物を存在させている。詩。室生さんも人造悪の小説かいて、まだこういう範囲で云っている。人造悪をも詩の一種と感じるほど、彼の日常は常識市民の雰囲気であるのでしょう。

図書館に行ってすこし読んで書きたいのは、明治初年に日本でややかたまって出た婦人作家というものの存在について。彼女たちが、小説をかく、そしてそれを発表し得たこと。そこには、明治の開化、女子教育、男女同権と云われた時代の空気が反映しているけれども、ではその作品の内容というものは果してどういうものであったろうか。『中央公論』の感想に一葉のことをかき、それにつづいて、彼女の場合でも、やはりそれを感じました。当時、二葉亭などの書いた文学と彼女の文学、その相互的な関係を見ると、歴史的に、彼女は、女が書くということに於ては新しい時代を具現し、かかれる内容、文体、そういうものでは古いものの最後の星とでもいうような、輝きかたではなかったろうかと思うのです。