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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

きのうも一寸思ったのですが、お部や同じですか、或は満員? 或はいろいろとあるのでしょうか。

六月一日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

六月一日  第四十四信

お早う。ひどく降りますね。入梅は十三日からだというのに。こちらではあっちこっち雨が洩って閉口。

きのうは、あれからS子さんが六週間ぶりと云って初の外出で来ました。お産後というよりも病み上りという風でした。赤ちゃんなしで産褥にいると、あんな風なのかと可哀そうのようでした。あなたに呉々も御大切に願いますとのことでした。それから又一勉強して、早めの夕飯たべて出かける着物にきかえているところへ稲ちゃん来。『くれない』が再版になったので、それは思っていなかったことだから、いつかの分の1/5だけ、とにかくかえすと云ってもって来てくれました。私は勿論よろこんで貰いました。稲ちゃんは前から随分気にしていたのですから。

音楽会はなかなか面白うございました。日本での初演が二つあって、一つはイギリスの民謡をとった狂想曲、もう一つはワルツやポルカ、スイスのヨーデルの歌、パセドーブル、タランテラなどという舞曲の組曲。