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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

何かの工場へ今つとめて四十五円とっています。その中から、下宿料十五円、家へいくらか送り、交通費、きるものなどすべてまかって、十円やっとのこる。この十円のために夜勤ですっかり体へばりかかっているので、この間来たとき十円出してくれるのならば、却って生活しよいから来てもわるくなさそうな話していたそうで、そのことをきめて来るわけです。来るか、来ないかを。この娘は、先は大変目のこで勘定高かった。たべるものにしろ食べさせるのをたべなければ損、そのようでこちらで切ないところもありましたが、今度は世間を見て、四十五円とは何を意味しているかがわかって、もしかしたら先よりよいかもしれません。

明日の話でどうなるか。いつかも申していたように、私はもう自分たちの暮しに又一さとりして、一緒にいる人のことは、勿論一生懸命に心がけますが、永続的でなくても平気という気になったから、そう気にして居りません。大して困ったところさえなければ誰かいて、空巣の番と御飯をたき洗濯してくれればようございます。その誰かが問題でキューキューしていると云えばそうですが。

今月は一年半ぶりでやや生活するに足る(生活費の三分の二ぐらい)収入がありそうです。