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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

(?)という本、私たちから記念にあげようと思って居ります。文献があげられていてきっとためになるでしょうから。研究の方法をも示しているそうですから。

きょうは、あっちこっち体動かしてもう迚も眠い。九時半迄にはねてしまおうとほくほくして居ります。今夜は寝ながら仕事について考えないでいいのです。極めてニュアンスにとんだ、賢こさや愛の溢れ出ている一つの笑顔を見ながら、その精神につつまれた感じの中で眠りにつくのがたのしみです。では大変早うございますが、おやすみなさい。

六月十一日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

六月十一日  第五十信

すっかり用事をしまって、おやと気付いてびっくりしたのは、盲腸を切った功徳が又一つあらわれていて、台所をして働いても、体が大して苦しくなく、特に腰の痛まないこと。気がついて、本当に何だか苦にならないわけが氷解いたしました。去年、ひさが国へかえっていた間なんか、五分ぐらい流しに立って何かしても腰がめりめりいうほど痛み出して苦しかった。今はそんなことなくなり、一日が終ってすこしだるいだけ。私の盲腸は考えて見ると実に邪魔して居りましたね。